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交通事故における休業損害

弁護士 内藤 幸徳

弁護士 内藤 幸徳

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 内藤 幸徳

東京弁護士会 高齢者・障害者の権利に関する特別委員会委員副委員長。 祖母の介護をしながら司法試験に合格した経緯から、弁護士登録後、相続、成年後見等、多くの高齢者問題に取り組む。 また、賠償責任の実績が多く、特に交通事故は、年間200件を超える対応実績がある。 医療機関の法務に強く、医療・法務の架け橋になれる弁護士として活動している。

休業損害とは、交通事故により怪我を負った結果、勤務できなかった期間の収入を補償する損害項目です。
会社員などの給与所得者、自営業者などの事業所得者の他、家事従事者も補償の対象となることがあります。

会社員(給与所得者)

正社員のみでなく、アルバイト・パートも含まれます。
お勤め先で「休業損害証明書」を作成していただく必要があります。
また、事故前年度の源泉徴収票の提出も求められます。

損害額の計算方法としては・・

事故前3か月の総支給額(額面) ÷ 実稼働日数 × 休業日数

となります。

時間給を取得した場合には・・

事故前3か月の総支給額(額面) ÷ 実稼働日数 ÷ 所定労働時間 × 休業時間

となります。

これらはいずれも「休業損害証明書」に記載されます。
なお、特別休暇に関し、「傷病休暇」など、目的が限定されている休暇に対しては補償がされないのに対し、有給に対しては補償がされるので注意が必要です。

自営業者(事業所得者)

事故の影響で、事業が行えなかった時間に対して、補償がなされます。

計算方法としては・・

事故前年度の所得 ÷ 365 × 休業日数

となります。

「事故前年度の所得」とは、単に申告所得ではなく、固定経費等は申告所得に加えて、計算するものとされています。
すなわち、休業していても発生する固定費、例えば、青色申告特別控除額、専従者給与、地代家賃などは、申告所得に加えた上で、計算をします。

上記のほか、業界団体に支払う会費、賠償保険等の保険料等、業種・業態により、固定経費は様々となりますので、弁護士とよくご相談いただき、妥当な損害額を算出すべきです。

家事従事者

事故により、家事を行えなかった期間に対する補償です。

計算方法は・・

事故前年度の賃金センサス(女性学歴計) ÷ 365日 × 家事を実施できなかった日数

となります。

令和6年度の賃金センサス(女性学歴計)は419万4400円となりますので、約1万1492円/日(小数点以下、四捨五入。419万4400円÷365日)となります。

いわゆる兼業主婦の場合、上記給与所得者、事業所得者の場合の計算と比べ、1日あたり1万1492円の基準を下回れれば、家事従事者として、休業損害の賠償を求めることがあり得ます。

休業損害の請求を弁護士に委任するメリット

給与所得者の方は、「休業損害証明書」に必要事項がすべて記載されますので、問題となることは多くありません。

他方、事業所得者の方や家事従事者の方は、休業したことの客観的な証明が難しいことや計算の基礎となる「所得」をどのように計算すべきか等、専門的な知識がなければ、適正な賠償が受けられない可能性が高いです。

吉祥寺内藤法律事務所でのサポート

吉祥寺内藤法律事務所は、交通事故に伴う損害賠償実務において豊富な実績を有しており、また、お客様1人1人のご事情を十分に把握し、適切な賠償額をお届けします。

ご相談は無料で対応しておりますので、どうぞお気軽にお声掛けください。